「なぜ死に魅入られてしまったのか?」
プリンセスたちと摂食障害の深い関係。
摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題の書に!
さらに、中年期には最愛の息子が自殺するという悲劇が起き、絶望した彼女は喪服しか着なくなります。それでも、60歳まで生きた彼女は旅先のカフェで数人分のアイスクリームを食べた翌日、無政府主義者に刺され、暗殺という最期を遂げました。
そこでようやく、生きづらさから解放されたのかもしれません。
シシィに限らず、王族や貴族に瘦せ姫は出現しやすい気もします。たとえば、英国のダイアナ妃は離婚の前年、テレビで自ら過食嘔吐に長らく苦しんできたことを告白しました。
じつは彼女の実姉も拒食症になったことがあり、その資質は十分に持ち合わせていたのでしょう。皇太子妃となってすぐに発症し、また、自殺未遂も繰り返したといいます。
それでも彼女は、自分なりのやり方で自己実現を模索していきます。エイズ撲滅や地雷除去などの慈善活動に熱心に取り組み、いわば「社会愛」によって心の闇を照らそうとしたのです。
ちなみに、この「社会愛」というのは、ミュージシャンの尾崎豊が口にしていた言葉です(註3)。彼は覚醒剤事件による留置所生活のなかで、世の中全体に「大きな社会愛みたいなものを生み出せたら」という思いにいたりました。じつは瘦せ姫のなかにも、他の人たちの幸せを願うことで自らの幸せとしようとする人がいます。ただ、そこに徹して、バランスよく生きていくことは難しいのかもしれません。
実際、尾崎は26歳で変死。ダイアナもまた、離婚の翌年にいささか謎めいた交通事故死により、36年の生涯を閉じました。
ほかには、スウェーデンのヴィクトリア王女(現・王太子)が19歳のとき、拒食症になり、王室もそれを公表しました。こちらは治療も兼ねての米国留学を経て、回復。帰国してから知り合ったジムのトレーナーと恋に落ち、結婚することになります。
では、日本ではどうでしょう。